桑田佳祐といえば、サザンオールスターズの中心人物として、日本のポップロックシーンを長年にわたり牽引してきたレジェンド。その音楽性には、数多くの洋楽──ロックやR&Bなどといった幅広いジャンルからの影響が色濃く表れています。
本記事では、2017年に発売されたPen特集号「1冊まるごと、桑田佳祐。」の情報を参考にしながら、桑田さんがインタビューやライブ、そして自身の楽曲の中で言及してきた洋楽アーティストたちを紹介。彼の音楽にどのようなかたちで影響を与えてきたのか、サザンやソロ楽曲とのつながりを紐解いていきます。
- Waiting for Columbus / Little Feat(1978年)
- ザ・スライダー / T. REX(1972年)
- Harvest / Neil Young(1972年)
- ラム / ポール・マッカートニー&リンダ・マッカートニー(1971年)
- カラフル・クリーム / CREAM(1967年)
- Endless Summer / The Beach Boys (1962年)
- E.C. Was Here / エリック・クラプトン(1975年)
- Tapestry / キャロル・キング(1971年)
- The Concert For Bangladesh / George Harrison
- Live Peace / The Plastic Ono Band
Waiting for Columbus / Little Feat(1978年)
リトル・フィート(Little Feat)は、アメリカ出身のロックバンド。R&B、ブルース、カントリー、ロックンロールなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックのエッセンスを融合させたサウンドが特徴です。その独特のグルーヴやスライドギターのプレイスタイルは、サザンオールスターズに大きな影響を与えてきました。
1969年結成のアメリカのロックバンド。78年のライブを編集、同年にリリースした2枚組アルバム。ジャケットデザインもいい。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
とりわけ桑田さんにとっては特別な存在のようで、「いとしのフィート」「悲しみはブギの彼方に」といった楽曲では、彼らの音楽的影響が色濃く感じられます。桑田さん自身もたびたびラジオで、ローウェル・ジョージ(スライドギター、ヴォーカル)在籍時の名盤——
- 『Dixie Chicken』(1973年)
- 『Feats Don’t Fail Me Now』(1974年)
これらもお気に入りとして挙げています。
桑田佳祐さんの音楽ルーツを辿りたい方にとって、必聴のアルバムです!
ザ・スライダー / T. REX(1972年)
グラムロックは、桑田さんが愛してやまないロックジャンルのひとつです。中でも、その代表的な存在といえるのがT. Rex(ティー・レックス)。独特の妖しさと煌びやかさを併せ持つサウンドやルックスが印象的です。
1972年にリリースされた、グラムロックを象徴するアルバム。「テレグラム・サム」「メタル・グルー」(ともに全英1位)収録。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
近年では、サザンオールスターズの楽曲「夢の宇宙旅行」について、本人が下記のように明言しており、グラムロック含む、その趣味性と音楽的リスペクトが色濃く表れたナンバーとなっています。(T. REXというより、エルトン・ジョンかもしれませんが…!)
これまでの僕の音楽人生の中で、グラムロックやパワーポップブリティッシュ・ロックに対する「リスペクトの集大成」だとも言えます
「サザンオールスターズ よむ “THANK YOU SO MUCH” 展」Liner Notes — 09「夢の宇宙旅行」より
Harvest / Neil Young(1972年)
ニール・ヤングも、桑田さんが長年リスペクトしてきたアーティストのひとりです。
TOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」を聴き続けていると、彼の代表曲「Heart of Gold」が定期的に流れていることに気づきます。まさに桑田さんの“心の1曲”といっても過言ではなく、音楽性を形成するうえで少なからず影響を与えた楽曲なのかなと思います。
1972年リリースのニール・ヤング4枚目のソロ・アルバム。全10曲中7曲がナッシュビルで録音。全体的にカントリー調の雰囲気を醸す。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
また、1991年に開催されたライブ「KEISUKE KUWATA ACOUSTIC REVOLUTION」では、この「Heart of Gold」をカバーして披露。個人的には、桑田さんの洋楽ルーツが凝縮されたファン必見のステージだと思っている(!!)ので、要チェックです。
ラム / ポール・マッカートニー&リンダ・マッカートニー(1971年)
「ジョン・レノン派か?ポール・マッカートニー派か?」──これは世界中のロックファンが一度は交わす会話ですが、桑田さんは“ポール派”であることを、インタビューやラジオなどでたびたび公言しています。そんな桑田さんが「世界で一番好きなアルバム」と言及することもある一枚が、こちらです。
「ビートルズは解散後にリリースされた各々のソロ作品が自分にとっての同時代体験。特にポールの『ラム』は確実に1000回以上聴いています。もし音楽稼業に就いていなかったとしても聴き続けていたと思う、青春時代のほろ苦い挫折を救ってくれた一枚です。先日ポールの武道館公演を観ました。彼が『彼氏になりたい』を歌う姿に、ビートルズの武道館公演の頃の思い出がよみがえって・・・・もうボロ泣きでした(笑)」(桑田)
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
カラフル・クリーム / CREAM(1967年)
2曲目「Sunshine Of Your Love」は、「KEISUKE KUWATA ACOUSTIC REVOLUTION」や「Act Against AIDS ’99 桑田佳祐 エリック クラプトソ横浜公演」などでたびたびカバーされている、桑田さんにとって馴染み深い楽曲です。
また、サザンオールスターズの「SEA SIDE WOMAN BLUES」は、本アルバム9曲目「Outside Woman Blues」をもじったものだと、桑田さん自身が明言しています。
イギリスのロックバンド、クリームの2枚目のアルバム。1967年にリリースされ、英国のアルバムチャートで最高5位を記録した。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
Endless Summer / The Beach Boys (1962年)
桑田さんが大好きな楽曲として、ラジオでもたびたびオンエアされるビーチ・ボーイズの「Don’t Worry Baby」。「KEISUKE KUWATA ACOUSTIC REVOLUTION」でも、25曲目にこの曲が演奏されています。
美しいコーラスワークとカリフォルニアのイメージが印象的なこの曲ですが、サザンオールスターズもまた、同様にハーモニーと“海”のイメージを持つバンドであり、ビーチ・ボーイズからの影響を強く感じさせます。
1974年リリースのベスト・アルバム。「エンドレス・サマー」は、映画「アメリカン・グラフティ」の上映により日本でも大ヒット。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
E.C. Was Here / エリック・クラプトン(1975年)
1975年にリリースされたクラプトンのライブ・アルバム。クラプトンはもちろん、ジョージ・テリーのギターテクニックも話題を呼んだ。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
Tapestry / キャロル・キング(1971年)
1971年リリース。全米で15週連続1位を獲得。このアルバムは全優秀女性ポップボーカルなど、4つのグラミー賞も獲得している。
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
The Concert For Bangladesh / George Harrison
1971年のジョージ主催のチャリティコンサート。豪華ゲスト陣が参加。「僕が初めてボブ・ディランの歌を聴いたアルバム」(桑田)
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
Live Peace / The Plastic Ono Band
1969年のライブ盤。「エリック・クラプトン、ジョン・レノンらが飛行機の中で打ち合わせしてリハーサルなしで演ったライブ」(桑田)
Pen 2017年 No.455「1冊丸ごと、桑田佳祐。」
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